ペプチド合成受託、タンパク質・ペプチドを中心とした研究開発・調査。実験器具類や試薬、バイオチップの販売

概要

概要

はじめに

バイオチップの使命はいうまでもなく、低価格で迅速な生体サンプルの検定(診断)を可能とすることである。
我々はタンパク質の構造や機能を網羅的に解析するプロテオーム研究において不可欠となる、次世代型バイオチップシステムの開発に取り組み、独創的なコンセプトを有するシステム構築に成功した。
当該システムは二次構造を形成するペプチドを捕捉分子としてチップ上に多種多数固定し、標的タンパク質との相互作用をバーコードとして可視化するものであり、プロテイン・フィンガープリント法と名付けた [文献1、2、3参照]。そして、当該次世代バイオチップをPepTenChip®と命名し登録商標とした。

1. Nokihara, K. et.al., Kobunsi Ronbunshu, 61, pp 523, 2004.
(in Japanese)
2. Nokihara, K. et.al.,Solid-Phase Synthesis & Combinatorial
Chemical Libraries 2004, Epton, R. ed.; Mayflower Scientific, UK,
pp 83, 2004
3. Nokihara, K., Future Materials, 6, 42, 2006, (Review in
Japanese)

当該バイオチップ用基板として従来のガラスやプラスチックに比べて遙かに優れた性能を有する基板も完成させた。
この基板は、特異性、再現性、感度、取扱いにおける操作性、安定性(保存や運搬面での)、生産性などに優れ、当該基板を用いるPepTenChip®システムはタンパク質検出のためのすべての要求を満たしているといっても過言ではない。
本システムは、本質的に検体となるタンパク質の構造の違いを読み取るものである。
本システム実用化に当たっての重要な要素は、ペプチドライブラリーの構築、適切な表面化学を有するチップ基板素材、極微量の標識ペプチド溶液のアレイ化法(配置・スポット法)、検出法およびデータマイニングなどである。
ハイペップ研究所は試作PepTenChip®で様々な解析を行ってきた [文献4、5参照]。
さらに条件の最適化などで改良を進めてきた。このたび、当該システムと基板材料の試験販売を開始するに至った。

4. Nokihara, K et. al., Peptide Science 2007, Aimoto, S., Ono, S.
eds.; Japanese Peptide Society, pp106, 2008.
5. Kawasaki, T., Ohyama, T., Hirata, A. and Nokihara, K., Bull.
Chem. Soc. Jpn., 83, 799-801. 2010.

捕捉分子

PepTenChip®に使われているデザインペプチドは全て高効率合成で、一つ一つその純度を確認してある。
さらにこれらは長波長の検出を可能とする蛍光色素で標識されている。平板や膜の上にアミノ酸を順次載せていく、SPOT合成法が知られているが、この手法ではデザインペプチドを効率よく合成することができないばかりか、載っているペプチドの純度が不明であるため、認識反応の再現性が悪い。
言うまでもなく、プロテイン検出は単に「有る・無い」ではく、定量せねばならない。
ここが、SPOT合成法の致命的な欠陥である。SPOT合成で作ったペプチドアレイは、エピトープ探しのような単純な作業を除いてはほとんど役に立たない。

PepTenChip®基板素材

PepTenChip®基板素材はアモルファスカーボンである。
当該基板は、以下の優れた特性を有している。

  1. 機械的強度が強い。
  2. 化学的に極めて安定。
  3. 自家蛍光を有さない(超微量検出ではバックグランドは感度低下に大きな影響を及ぼす)。
  4. レーザー加工が容易である(フラットな表面だけでなく、ナノスケールのウェルや溝を彫ることでマイクロリアクターへの応用が可能)。
  5. 再利用が可能であるため環境にやさしい。
  6. 高い熱伝導性と電気伝導性(チップ上での加熱・冷却が容易でかつ電気化学反応も行うことが可能)などの優れた特長を有する。
  7. ハードディスク製造技術によって基板表面の平坦度は10 ミクロン以下である(優れた再現性、高感度検出に寄与する)。

我々が新規に開発した表面化学処理技術により、従来の基板素材(ガラス板等)と比較すると、バックグラウンド・非特異吸着が極めて低く、表面官能基の分布は均一であり、また官能基(置換基)量も多い。
[文献6] このため、より簡便に捕捉分子の固定化が行える(特許申請)。
また、我々は基板アミノ基量を定量法として、新規に電気化学的検出法を開発した(特許申請)。従来のX-ray photoelectron spectroscopyによる表面元素分析データは、反応のストイキオメトリ-(化学量)を正確に計測することはできないため、我々の開発した表面上の反応性アミノ基量の定量は基板の品質管理上必須である。
定量の結果から当該基板でのアミノ基量は約 4 pmol/mm2であった。また、従来の市販のガラス基板は非特異的な吸着が強いため、アミノ基量を正確に定量できない。
我々は、さらに改良を加え、従来比で10-20倍量のペプチドの固定化を実現した。

プロテインチップでは検出したタンパク質の定量的解析が重要な課題の一つであるが、これまでマイクロアレイのスポットがリング状に局在する問題がこれを困難にしていた。
我々はこの問題も解決し、 PepTenChip®は改良された特殊表面技術により、添加剤等無しで均一なスポット形状でマイクロアレイを作製することができるようになった。
PepTenChip®の基板表面の化学修飾は、アミノ基を基点にカルボキシル基、ブロモアセチル基、スクシンイミドエステル、マレイミド、ビオチンなどで化学修飾することも容易である。
本研究で開発された素材と表面加工技術はバイオチップのみならず、MALDI-TOF用の測定基板、微量アッセイ用ウルトラナノプレート、マイクロリアクターへの応用も可能であり、新しい応用と用途の開発が期待できる [文献7]。

6. Nokihara, K., et. al., Peptide Science 2008, ed. Nomizu, M.,
Japanese Peptide Society, pp95, 2009.
7. Nokihara, K., et. al., Peptide Science 2009, Okamoto, K., ed.;
Japanese Peptide Society, pp337, 2010.

PepTenChip®の最近の応用例

糖タンパク質は生体認識において重要な役割を演じている。
我々は新たに糖ペプチドライブラリーを構築し、これまでのデザインペプチドライブラリーに追加し、これをPepTenChip®上にアレイ化し、毒素タンパク質の糖ペプチドに対する結合活性相関を明らかにした。
これまでに構築したそれぞれα-helix、β-sheet、β-loopを形成する蛍光標識された約2500種類のペプチド群 [文献1-4参照] に加え、これら構造ペプチドライブラリーから、約100種類の配列を選択しΟ-グリコシル化ペプチド(Ο-結合型糖ペプチド)ライブラリーを化学合成によって構築した。
母骨格のペプチドに比べ糖ペプチド合成は、反応性、収率や精製の観点からより困難である。数多くの糖ペプチド合成に当たっては高効率化が不可欠であり、固相合成法ストラテジーや試薬を改良した。
毒素タンパク質レクチンは糖鎖に結合することが知られている。
オンチップの実験に先立ってタイタープレートを用いる溶液アッセイ(試験)を実施した。上述の糖ペプチド群を毒性タンパク質と反応させ、毒素検出を試みた結果、顕著な蛍光強度変化が確認され、糖化していないペプチドとは全く異なる蛍光強度変化パターンを示した。
従来の抗体検出法ELISAと同様の検出感度が実現できた。 PepTenChip®を用いることで従来のプレートリーダーを用いた溶液アッセイと比べ、遙かに微量の検体と捕捉分子(糖ペプチド)でアッセイを行うことが可能と考えられる。糖ペプチドを選択し、同一配列で糖鎖の無いペプチドを加え、80種の溶液(350 pico L)をピエゾ方式(圧電効果に基づく非接触式のスポッティングシステム)を駆使し、 PepTenChip®基板上に直径約100ミクロンのサイズでスポットしたアレイを作製した。
捕捉分子としてアレイ化した糖ペプチドの量は1スポットあたり9 femtoモルと、検体の毒性タンパク質20 ngの検出が可能なアッセイ系が確立できた。
さらに実用性を考慮して2%のミルク存在中でも検出を行った。これらの結果から糖ペプチドアレイは毒性タンパク質の検出ツールとして応用が可能であることが示された。
更に分析条件を最適化し、ペプチドの選択や組み合わせによって感度や選択性の向上が期待でき、食品分析やバイオテロ対策などへも応用可能と思われる。
我々は、今後さらにPepTenChip®をプロテオーム研究や臨床診断への応用することを目指している。

当該研究開発は内閣府と沖縄県による「バイオベンチャー企業研究開発支援事業」(2004~06)、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構による「研究開発型ベンチャー技術開発助成事業(単独申請型)NEDO産業技術実用化プロジェクト」(2005~06)、および生物系特定産業技術研究支援センターと独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構による「生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業(異分野融合研究開発型)」(2007~)の支援を受けた。

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