AHST-16は多サンプルの密閉加熱下での化学処理を可能なシステムです。
特にペプチド・タンパク質の液相加水分解に加え、一般的な各種誘導体化処理にもご使用いただけます。
1: アンプル熔封作業が不要!簡便な操作で確実に減圧下でのサンプル封入ができます
2: 非常に優れた密封性を実現し、110℃・24時間の加熱条件下においても、99.9%以上のメチレンクロライドを保持することができます
3: 加熱処理と、加熱後サンプルの濃縮を1つの装置で行えます
4: 特別な標識処理を行わずにアミノ酸を検出できます
使用用途
タンパク質の加水分解、及び脂肪酸のメチルエステル化、ステロイドのトリメチルシリル化などの加熱を伴う各種誘導体化
(注: 現時点では細胞や微生物のアンプル保管用途には対応しておりません)
使用方法
製品詳細
1.はじめに
ペプチドやタンパク質の特性を理解する上で、ペプチドやタンパク質を構成するアミノ酸情報は重要である。アミノ酸組成や配列を解析するためにはエドマン分解や標識など煩雑な操作が必要な場合が多い。
加水分解・化学誘導体化のための装置、AHST-16による迅速加水分解とアミノ酸分析カラム Intrada Amino acidを組み合わせた方法により、サンプル中のアミノ酸組成を迅速簡便に測定した。
2.実験方法
迅速加水分解に供するサンプルとして、ペプチド試料(H-SVVFGLR-OH, 血管新生剤) 0.7 mgを使用した。秤量したサンプルを専用ガラスバイアル(H255, HiPep Laboratories)に入れ、TFA/5.7 N HCl = 2/1 100 µLに溶解し、シーリングプラグ(H500, HiPep)とバキュームベッセル(H815, HiPep)を用いて真空封管した。真空封管したバイアルはAHST-16にセットして165℃で1時間加熱し、完全加水分解を行った。加熱処理後、シーリングプラグからバイアルを取り出し、ブロースタンド(AHST-8BS, HiPep)を用いてサンプルの濃縮を行った。濃縮後、得られた残渣は0.01 N HCl/ MeCNに溶解させ、不溶成分をフィルターで除いた後、LC-MS分析に供した。
3. 結果
迅速加水分解法により、サンプルとしたペプチドに含まれるアミノ酸を検出した。Glyについては、分子量が小さく、使用したイオントラップ型質量分析計ではピークとして検出出来なかったが、四重極型の質量分析計を用いると全てのアミノ酸は検出できた。
4. まとめ
シーリングプラグ・バキュームベッセルとAHST-16により、サンプルを簡便に封管し迅速な完全加水分解を行うことが出来た。サンプルを秤量から2時間程度で目的とするアミノ酸組成データが取得できた。ブロースタンドにより、加水分解後の濃縮操作、残存酸の除去も容易であった。
本システムの応用例
1.K. Nokihara, et al., Amino acids, 48, 2491-2499, 2016.
2.T. Sasaki, et al., Chem. Biol. Drug. Des., 102, 1327-1335, 2023.
3.T. Kasama, et al., Anal. Sci., 40, 1219-1223, 2024.