ハイペップ研究所は、分子認識に基づくタンパク質相互作用に視点を置き、ペプチド誘導体を用いたバイオ計測の研究を進めてきた。構造ペプチドを捕捉分子として1:1認識に限定されない分子認識を応用するバイオチップを開発した。そのキーテクノロジーの一つを駆使し、1粒のゲル様担体に1種類のペプチドだけが固定化された高純度で均一なOPOB (One Peptide on One Bead)ライブラリーに関する技術を開発してきた。最近論文発表した中分子創薬を目的とする、迅速な標的候補探索を可能とした技術の一つを紹介する。
ダイバーシティ約300万種【126】のOPOB ライブラリー:対応製品P/N CP12FB
ライブラリー構築で行われる分割混合の工程は多大な労力が必要なため、迅速性が求められる。過去の創薬の成功例をもとに構成ユニットを厳選した。すなわち、本ライブラリーは、非タンパク質性アミノ酸を中心に構成し、質量分析による構造解析のために同一質量のユニットの併用を避け、担体からペプチドを迅速簡便でかつ特異的に切り出せる構造とした。選別された1粒上のペプチドの配列は質量分析法で容易に構造決定ができる。このライブラリーの長所は高い純度と構成成分の高い均一性にある。化学合成の柔軟性を活かした質の高い数百万のリガンドと生体内に存在する多数のタンパク質を同時にスクリーニングできる点にあり、1つのビーズが80~100 pmolのリガンドを有するため、相互作用するタンパク質も迅速に同定できる。ディスプレイ法を意識した技術である。現在主流のターゲットを決めて行なわれる新薬開発の手法では得られないリード化合物の発見によって、新しい医薬品開発を可能にする。2023年8月3日論文受理:インパクトファクター 約3。
Sasaki, T., Kasama, T. and Nokihara, K. (2023). A novel cyclic peptide library immobilized on gel-type beads focusing on rapid construction and characterization for comprehensive drug discovery. Chemical Biology & Drug Design, 00, 1–9. https://doi.org/10.1111/cbdd.14331