PepTenChip®を用いた歯周病検査チップの作製と疾患モデル唾液による評価

論文紹介 (ハイペップ研究所のバイオチップの口腔衛生検査への応用)
独自のバイオ検出システム「PepTenChip®」を用い、客観的判定が可能な歯周病検査システムの構築した報告である。歯科医師の個人的経験やスキルに依存する従来法を補完し、客観的判定を導き出すためのペプチドマイクロアレイの臨床応用の例を示した。
Title: Applications of a novel biodetection system to saliva using protein fingerprints with data processing
Yuki Tominaga, Kenji Usui, Akiyoshi Hirata, Hiro-O Ito, Kiyoshi Nokihara
Bioorg. Med. Chem., 26, 3210-3216, 2018.
DOI: https://doi.org/10.1016/j.bmc.2018.04.049
歯周病は、細菌感染によって引き起こされる歯肉炎から重度の歯槽膿漏までを含む口腔内の炎症疾患全般を指すが、その検査手法の多くはプローブによる測定や目視、X線判定など、検査者の主観や熟練度に大きく依存しているのが現状である。そこで本論文では、検査者に依存する事無くより客観的に口腔衛生状態を判定できるバイオチップ開発を目的とし、疾患モデル唾液を用いた実験を行った。ペプチドマイクロアレイの作製にあたっては、3ブロックをカルボキシル基で修飾したアモルファスカーボン基板をEMCA誘導体化し、マイクロアレイヤーを用いて歯周病検査用ペプチドプローブ多数をアレイ化した。このマイクロアレイを用いて疾患モデル唾液のアッセイおよび検出実験の結果、約500種類のα-へリックスペプチドの中から、歯周病に特徴的な変化を示す捕捉ペプチドプローブとして蛍光強度変化の顕著な20種類を選抜した。得られた蛍光強度変化データをPFP(Peptide Finger Printing)分析したところ、各検体に特有の反応パターンが示され、樹形図を用いた解析によって各検体の特徴に基づいた明確な分類が可能であった。また、蛍光強度変化の主成分分析(PCA)を通じて、ターゲットを認識するペプチドの性状や配列等に関する情報を得た。以上の結果から、検体に含まれるタンパク質の組成差を本チップで高精度に識別できることを示し、歯周病検査における客観的な有用性が示された。PepTenChip®のようなペプチドマイクロアレイは、検体中の特異タンパク質と相互作用するペプチドを網羅的に解析することに適しており、搭載する捕捉ペプチドを最適化することで、今後は様々な検体に対応した診断チップへの応用が期待される。
PepTenChip®システムによる唾液検体の測定とデータ解析

関連動画:新規原理に基づくバイオ検出法まとめ動画公開 https://hipep.jp/?info=20241119
①PepTenChip®/PepTenCam動画 字幕日本語 https://youtu.be/-Zli6QZVetU
②新規素材カーボン基板のご紹介 https://youtu.be/8R2ECpyeDC8
③手動アレイ化法:アレイヤーを所有しない研究者の方も簡単にアレイ作製ができます。ご自身の分子を用いたアレイを作ることができます。再生・再使用のためのプロトコル https://youtu.be/nYi6bdndjDE
★技術の詳細: Analytical Methods, Royal Society of Chemistry. 17, 4590-4598, 2025. DOI:10.1039/D5AY00426H.
★関連する日本語版総説 軒原 清史, 化学工学第88巻2号 page 61-64, 特集「ペプチド科学の最近の進展」 新規原理に基づくバイオチップ(ペプチドマイクロアレイ)の開発と診断への応用
